Clarence Penn

Jazz Drummers of Today
現代ジャズドラマー列伝

Clarence Penn / クラレンス・ペン/ No,003

Clarence Penn / クラレンス・ペン
– 1968年ミシガン州デトロイト生まれ –

デトロイトで成長し、小学校3年生の時に最初のドラム・セットを手にした。
インターローシェン芸術アカデミーでレッスンを受け高校の高学年にはかなりのレベルに達する。アカデミーの教師から強く熱望され彼のバンドのメンバーになる。高校を卒業するとマイアミ大学でジャズとクラシック・パーカッションのプログラムを学び、約1年後にウィントン・マルサリスの提案で、彼の父親であるエリスが教鞭を取っているバージニア・コモンウエルス大学に入る。
15歳でセミプロとして活動を始めてから、ベティー・カーター、エリス・マルサリス、ウィントン・マルサリス、ジャッキー・テラソン、ロバータ・フラック、ディジー・ガレスピー、ダイアン・リーブス、サイラス・チェスナット、スティーヴン・スコット、ステップス・アヘッド、マイク・スターンなどのツアーやレコーディングに参加。
斬新さと瞬発力にとみ、その卓越したセンスであらゆる音楽的スタイルに対応できるドラマーとしてトップクラスに位置する。(Music@勝戸倶楽部コノヒト第8回: Clarence Pennより抜粋)

これまでのジャズ・ビッグ・バンドの概念を大きく変えたグラミー受賞作品。
A Grammy-winning work that revolutionized the conventional concept of the jazz big band.

Maria Schneider Orchestra / Concert in The Garden / 2004
マリア・シュナイダー・オーケストラ / コンサート・イン・ザ・ガーデン

Composed By, Conductor, Mixed By, Producer, Liner Notes, Executive-Producer – Maria Schneider
Trumpet, Flugelhorn – Greg Gisbert, Ingrid Jensen, Laurie Frink, Tony Kadleck
Trombone – Keith O’Quinn, Larry Farrell, Pete McGuinness (tracks: 3, 4), Rock Ciccarone
Alto Saxophone, Soprano Saxophone, Clarinet, Flute, Alto Flute, Bass Flute – Tim Ries
Alto Saxophone, Soprano Saxophone, Clarinet, Flute, Alto Flute, Oboe, English Horn – Charles Pillow
Tenor Saxophone – Andy Middleton (tracks: 3, 4)
Tenor Saxophone, Flute – Rich Perry
Tenor Saxophone, Soprano Saxophone, Clarinet, Flute – Donny McCaslin
Baritone Saxophone, Flute, Clarinet, Bass Clarinet, Contrabass Clarinet – Scott Robinson
Bass – Jay Anderson
Bass Trombone, Trombone – George Flynn
Drums – Clarence Penn
Cajón – Gonzalo Grau (tracks: 5)
Cajón, Cajón – Jeff Ballard (tracks: 5)
Pandeiro – Luciana Souza (tracks: 2)
Guitar – Ben Monder
Accordion – Gary Versace (tracks: 1)
Piano – Frank Kimbrough
Voice – Luciana Souza (tracks: 1, 2, 5)

現代ジャズドラマー列伝 ≪ クラレンス・ペンの巻 ≫ 第3弾は、これ。
2004年のマリア・シュナイダー・オーケストラ。

このアルバムは、クラウドファンディングの先駆け的存在 “アーティストシェア” で製作され、インターネットだけによって発売された初のグラミー受賞アルバムとなった。

2000年に設立されたアーティストシェアは、ジャズ作品に特化した “投資プロジェクト兼レーベル” として、現在も良作を連発。また、老舗レーベルのブルーノートやニューポート・ジャズフェスティバルとも提携しながら「芸術的にもセールス的にも成功する作品づくり」を推し進めている。

2004年のマリア・シュナイダー『Concert in the Garden』をはじめ、クリス・ポッター、故ボブ・ブルックマイヤーなど、数々の有名ジャズミュージシャンの作品をリリースし、これまでにグラミー賞で32回のノミネート、11回の受賞を果たしてきたニューヨークの「アーティストシェア(ArtistShare)」。同レーベルは、2001年に「世界で初めてクラウドファンディングというシステムを立ち上げた」ことで知られている。

今でこそ各ジャンルのミュージシャンがKickstarter、Indiegogo、PledgeMusicといったプラットフォームを利用することが珍しいことではなくなり、クラウドファンディングという言葉自体、日本でもすっかり浸透しているが、それが最初に始まったのは「音楽業界」であり、「ジャズのシーン」であり、「ニューヨーク」だった。
Arban記事より転載)

木管楽器が多用され、クラシック音楽のオーケストラ的手法が多用された作品は、これまでのジャズのビッグ・バンドの概念を大きく覆すものだ。

マリア・シュナイダーの創りだす音楽は、師匠であるギル・エヴァンス・オーケストラの金管の織りなす都会的でクールな響きとは裏腹に、オーガニックで優しさと郷愁に満ちている。

そして、クラレンス・ペンのドラミングは、
単にリズムセクションという立ち位置を大きく踏み越えてオーケストラ全体のサウンドに彩りと躍動感をあたえる重要な役割を演じている。

マリアはペンのことをこう評する。

「クラレンスはカリスマ的なプレイヤーで、ダイナミックレンジが広く、ドラマチックで音楽性に富んでいる。彼は頭脳明晰なドラマーで、構成的に考えながらもエキサイティングでエネルギーと情熱に満ちたものを作るという最終結果に向けて、直感と直感を働かせるのです。彼は、ドラマーとは何かという限定的な概念を持っていない。もちろん、彼はバンドを動かし時間を押し進めると同時に、音楽に彩りを加える方法を知っている。

それまでにも、その実力を十分に知らしめてきたペンだけど、
この作品は、さらなるスケールアップ、ドラマーとしての領域を大きく拡大して知らしめたアルバムとなった。