Nate Smith

Jazz Drummers of Today
現代ジャズドラマー列伝

Nate Smith / ネイト・スミス / No,011

人を食ったジャケットデザインとは裏腹に、現代ジャズの象徴的なスタイルの1つがインコモン!
Despite the insolent jacket design, one of the most iconic styles of contemporary jazz is “In Common”!

In Common 2 : Walter Smith III, Matthew Stevens, Micah Thomas, Linda May Han Oh, Mate Smith / 2020年
イン・コモン2:ウォルター・スミス3世, マシュー・スティーヴンス, ミカ・トーマス, リンダ・オー, ネイト・スミス

Tenor Saxophone – Walter Smith III
Guitar – Matthew Stevens
Bass – Linda May Han Oh
Drums – Nate Smith
Piano – Micah Thomas

現代ジャズドラマー列伝 ≪ ネイト・スミスの巻 ≫ は、いよいよ第11弾!
2020年の「イン・コモン2」。
2と言うからには、1があってそれは↓。

https://www.jazzdogs.bar/entry/2020-07-07-waltermatthewjoel

今回5人中、中心のウォルター・スミス3世とマシュー・スティーヴンス以外の3人が交代した。

ヴィブラフォンのジョエル・ロスは、ピアノのミカ・トーマスに。ベースはハリッシュ・ラグハヴァンからリンダ・オーに。そしてドラムはマーカス・ギルモアからネイト・スミスに。
1のジャケット

の交代した3人の首をペタッと貼り付けコラージュしてる。マジか。
コロナ禍で撮影のため集まれなかった苦肉の策と思いたい……。

交代したリンダ・オーもネイト・スミスも大好きなんで、もちろん問題ない。
しかし、前作で接着剤的役割だったジョエル・ロスのヴァイブが無いのは痛いのでは、という不安も。

やはり、そのことを考えてか今回は、ピアノ、サックス、ベース、ギターいずれか、あるいは複数が特徴的なリフを繰り返す楽曲が多い。

それはそれでカッコいいが、前作のような自由度は若干狭まった。
そのかわり、ネイト・スミスのドラムの手数が増え、存在感が大きい。
そっちの楽しみは増した感じ。

ウォルター・スミス3世とマシュー・スティーヴンスの2人は、オイラそれほど日常的に聴いていないプレイヤーだけれど、1曲目の短めのデュオに表れているように、この2人の創りだす世界、そしてそれがさらに他のプレーヤーを巻き込んで拡がってゆく空間は楽しい。

アルバムの出だしから中盤まで、割と穏やかというか和やかな空気が支配する。
中盤から陰影の濃い、あるいは哀感の少々強い作品も出て来るけど、
基本アルバム通しての空気感は変わらない「日常に寄りそう系サウンド」。

PC仕事のBGMにしても心地よさそうなサウンドなのに、
ガッツリ正対しても聴き応えあるというアレンジメント、アンサンブルが特徴的だ。
そういう意味では、ネイト・スミスの「キンフォーク」

にも近いスタンスだけど、
シンセやエレピなし、ヴォーカルなしのこちらの方が、
声高に語らない、より現代的なジャズアルバムな気もする。

本作と前作、あわせてオイラの大々お気に入りのアルバム。

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