Nate Smith

Jazz Drummers of Today
現代ジャズドラマー列伝

Nate Smith / ネイト・スミス / No,001


現代ジャズドラマー列伝、ぐいぐい進みます。
70年代生まれダフニス・プリエトに続いて、超人気者ネイト・スミスの登場。

Nate Smith / ネイト・スミス
– 1974年、バージニア州チェサピーク生まれ –

11歳でドラムを始め、ロックやファンクミュージックに影響を受ける。16歳のときアート・ブレイキーを聴いてジャズに興味を持つようになる。大学では、メディアアートとデザインを学び、在学中国際ジャズ教育協会の会議で演奏し、そこでベティ・カーターに出会いブルーノートでのレコーディングに参加。 その後、カーペンター・フェローシップ・プログラムのメンバーとしてバージニア・コモンウェルス大学院で学びデイヴ・ホランドと出会い、2003年に彼のクインテットに参加。

その後、サックス奏者クリス・ポッターのグループに参加し、以来ラヴィ・コルトレーン、ホセ・ジェームス、ニコラス・ペイトン、ジョン・パティトゥシ、アダム・ロジャース、レジーナ・カーター、マーク・ド・クライヴ=ロウ、ライオネル・リエケなどと共演。

ミュート気味でタイト極まりないスネアとぶっといキックが特長のファンクなサウンド。多彩なリズム・トリックとキレッキレのグルーヴは、唯一無二のジャズ・グルーヴをつくり出す存在で、ジャズの枠を越えて多くのプレーヤーからコールのかかる人気者。

デイヴ・ホランド・クインテットにて、クリス・ポッターとネイト・スミスが揃った記念碑的アルバム。
A monumental album featuring Chris Potter and Nate Smith together in the Dave Holland Quintet.

Dave Holland Quintet / Critical Mass / 2006年
デイヴ・ホランド・クインテット / クリティカル・マス

Bass – Dave Holland
Drums – Nate Smith
Tenor Saxophone, Soprano Saxophone – Chris Potter
Trombone – Robin Eubanks
Vibraphone, Marimba, Tambourine – Steve Nelson


このアルバムはベーシスト、デイヴ・ホランド・クインテット2006年のアルバム。
デイヴ・ホランドは、あのマイルス・デイヴィス “ イン・ナ・サイレント・ウェイ ” “ ビッチェズ・ブリュー ” などで有名な レジェンド。

彼のクインテットには、2005年のアルバムからサックスのクリス・ポッターが参加。
そしてこのアルバムからドラマーのネイト・スミスが新たに参加してる。
他は、トロンボーンのロビン・ユーバンクスとヴィブラフォンのスティーヴ・ネルソン。

出だしから、ハッキリとネイト・スミスのドラムだと分かるサウンドに浮かれる。
なんだか全体的にミディアム・テンポの曲が多くリラックスしたムードだけど、じつは変拍子だらけで、どの曲も一筋縄ではいかない曲ばかりで楽しい。

テーマにしてもユニゾンではなく対位法的に動くというか絡む曲が多く、じつに色んな工夫がなされてて飽きさせない。曲調もラテン、アラビアン、ファンク調、フリー調いろいろあって多彩。

内省的な曲もあるけど、明らかにスミスのドラミングが全体に明瞭な輪郭と動きをあたえているのが分かる。
デイヴ・ホランド自身は、さほど前に出て来るわけではないけど、和やかながらもピッシーッとシまったサウンドには、強力なリーダー・シップを感じる。

ウネウネと吹きまくるクリス・ポッター、思わず唸るネイト・スミスのタイトなドラムワークと、音色的に柔らかいヴァイブ(またはマリンバ)とトロンボーンの組み合わせが、絶妙な世界をつくり出している。

不思議な雰囲気の導入、曲のごとの仕掛け、和みのサウンド、ハイテンションな各自のソロが渾然一体となっている。まあ通好みというか、めちゃ派手てワケでもないのに1曲聴き終えるごとに頷いてしまうような、じつにニンマリ×ニンマリなアルバムだ。

オイラ的には、3曲目や6曲目でのネイト・スミスの叩きっぷりがもう堪らん !!!

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