Marcus Gilmore

Jazz Drummers of Today
現代ジャズドラマー列伝

Marcus Gilmore / マーカス・ギルモア / No,002

従来のピアノ・トリオというスタイルを破壊するかのような強烈なロマンティシズム!
Intense romanticism that seems to destroy the conventional piano trio style!

Vijay Iyer Trio / Historicity / 2009年
ヴィジェイ・アイヤー・トリオ / ヒストリシティ

Piano, Arranged By, Producer – Vijay Iyer
Bass – Stephan Crump
Drums – Marcus Gilmore
Written-By – Vijay Iyer (tracks: 1, 4, 9, 10)

現代ジャズドラマー列伝 ≪ マーカス・ギルモアの巻 ≫ 第2弾!
ヴィジェイ・アイヤーのアルバムをもう1枚。
2014年のサード・アルバム。

ついにサックスが抜けてピアノトリオとなった。
名門ACTからのメジャーデビューアルバムだ。

忘れもしないオイラが初めて聴いたアイヤーのアルバムがこれ。
その時は、何だこれ?という強烈な違和感とともに「ムリ!」と思った。
いまでは、昼下がりのうたたねBGMにしてもいいくらい好だけど。

オイラの初聴評価とは裏腹に彼の名前を世界に知らしめた一枚。
ここから、ヴィジェイの快進撃は始まる。

全編3人のガチンコぶつかり合いが、堪らない。
思い思いというか、バラバラなようで、何かしらもちろん秩序はある。
次第に盛りあがって大団円迎える様に引き込まれる。

アイヤーのピアノは、ベースとぶつかる音域を恐れることなくガンガン攻めてゆく。
むしろ、ピアノ・トリオの流麗さや聴きやすさなどクソ食らえと言わんばかりだ。
おそらく、世界でもっとも重心の低い(?)トリオ。重低音のラヴィリンス。

3人のひたむきさ、熱量が次第に聴くものをのみ込んでゆく。
それはもう、トライブであり宗教であり国家のようなもの。
まったく畑違いだけどジャパニーズ・ロック、
かつてのブランキー・ジャット・シティを思い出す。
一見、難解で入り込み辛い世界観は、突き抜けるとファンタジーでさえある。


これまでのピアノ・トリオの形を壊そうとするかのような熱情。
クールに燃え上がる炎に身を焦がせ。

グラミー賞ノミネート、
米ダウンビート誌、ニューヨーク・タイムズ紙の “ 年間最優秀アルバム ”。

Marcus Gilmore / マーカス・ギルモア
– 1986年、 ニューヨーク生まれ –

マーカス・ギルモアは祖父であるレジェンド・ドラマー、ロイ・ヘインズから10歳のときドラム・キットを与えられる。ラガーディア音楽芸術芸術高校を卒業し、ジュリアード音楽院とマンハッタン音楽院にも入学。16歳のときからプロとしてツアーを行っている。
チック・コリア、ゴンサロ・ルバルカバ、ニコラス・ペイトン、スティーブ・コールマン、ヴィジェイ・アイヤー、アンブローズ・アキンムジレなど、現在最も有名なコンテンポラリー・ジャズ・アーティストと共演。また、自身のバンドでソロプロジェクトにも着手している。チック・コリアとの仕事でグラミー・ベスト・ラテン・ジャズ・アルバム賞も獲得している。
特にトニー・ウィリアムズ、エルヴィン・ジョーンズ、ミルフォード・グレイヴスから影響を受けたと語っている。とにかく音色、音の粒立ちが美しく、ゆったりとしたグルーヴの中にも幾重にも重なったポリリズミックなタイム感覚、反応の速さと柔軟性を持ちあわせる。

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