2022年の20枚!

Brad Mehldau / Jacob’s Ladder / 2022
ブラッド・メルドー / ジェイコブズ・ラダー / No.4070

混迷の現代にブラッド・メルドーが示した福音書。
The Gospel as presented by Brad Mehldau in today’s chaotic times.

Brad Mehldau / Jacob’s Ladder / 2022

Piano, Electric piano, Mellotron, Sampler, synthesizer, Organ, Xylophone, Drums, tambourine, Vocals, Spoken Word, Orchestral Bells, shaker – Brad Mehldau
Drums – Mark Guiliana
Elektron Octatrack, Sampler, Drum programming – John Davis(Tracks:1, 3, 4, 5, 7)
Soprano saxophone – Joel Frahm(Tracks:2, 7)
Harp – Lavinia Meijer(Tracks:3, 12)
Mandolin – Chris Thile(Tracks:7)
Vocals – Tobias Bader(Tracks:2), Becca Stevens(Tracks:2, 3, 5, 11, 12), Safia McKinney(Tracks:10)
Voice – Luca van den Bossche(Tracks:1, 7, 11, 12) , Tinkerbell(Tracks:2, 8), Safia McKinney(Tracks:11), Timothy Hill (Tracks:11), Joris Roelofs(Tracks:11), Cécile McLorin Salvant(Tracks:12)
Linore – Motomi Igrashi-de Jong(Tracks:5, 10)
Vocals, Acoustic Guitar – Pedro Martins(Tracks:8, 12)
Bass drum – Paul Pouwer(Tracks:12)
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JazzDog’s Rating ☆☆☆☆☆
Degree of
Thrilling Sounds / スリリング度 ☆☆☆
Dramatic / ドラマチック度 ☆☆☆
Ensemble / アンサンブル度 ☆☆☆
Advance / アドバンス度 ☆☆☆
Lyrical / リリカル度 ☆☆☆
Fantastic / ファンタジック度 ☆☆☆
Melancholy / メランコリー度 ☆☆☆
Aesthetic / 美しい〜度 ☆☆☆
Spiritual / スピリチュアル度 ☆☆☆
Latin Flavor / ラテン度 ☆☆☆
Individual Style / 個性的なスタイル ☆☆☆
Stylish cover arts / ジャケ買い度 ☆☆☆

今週は、ジャズを越境するような音楽ばかりを紹介してきたけど、
本日は、その極めつけの1枚。

ブラッド・メルドーの最新作 “ ジェイコブズ・ラダー ” !!!

このアルバムにいたっては、プログレみたいとかではなく本人が、
「思春期に愛したプログレにインスパイアされた音楽を通して、聖典と神の探求について考える新しい音楽」と明言している。

アルバムは、↑ ご覧の通り多くのミュージシャンを起用しての一大スペクタクルとなっているが、

なかでも “ Mehliana: Taming The Dragon ”“ Finding Gabriel ”、とメルドーのプログレ路線を支えてきたドラマー マーク・ジュリアナはもちろんのこと、ヴォーカルのベッカ・スティーヴンスの存在は大きい。

また、サンプラーやプログラミングなど電子面での貢献でエンジニア&ミュージシャンのジョン・デイヴィスの存在も欠かせないし、加えて盟友パンチ・ブラザースのクリス・シーリーも今回のアルバムのキモだ。

また、常連のサックス奏者ジョエル・フラームも、ここぞという所でピカイチのソロを吹くし、ブラジルのマルチ奏者ペドロ・マルチンスも彩りを添えている。

もう、開いた口が塞がらないというか、
あっけにとられたまま幾度も聴き返してしまう、間違いなく名作だ。

プログレ・ジャズ的なものは世の中にけっこう多い。

しかし、
これまで聞いたことのない音色、
聞いたことのないメロディ、
思いもよらぬ楽器あるいは声、音程、
ヴォーカルやヴォイスそして詩の組みあわせ、コラージュ、
その複雑極まりない音のレイヤー。

現代を描き出すメランコリックな響き、
アコースティックと電子音(なかでもアナログ機材の使い方)のミックス、
計算された音だけではなく効果的に織り込まれるインプロ、
緻密さと絶妙なバランスと、ストーリー・テリングの説得力。

メルドーの創りだす圧倒的な音世界、
それらがもたらす驚きと、訪れる多幸感。

ぜひとも、ジェイコブズ・ラダー・ライヴが観てみたい。
混迷の現代にブラッド・メルドーが示した福音書。
他を圧倒するような内容の傑作だ。

これまたグラミー獲るね。

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