Antonio Sánchez

Jazz Drummers of Today
現代ジャズドラマー列伝

Antonio Sanchez / アントニオ・サンチェス / No,007

ジュリオ・カルマッシを加えユニティ・バンドを増強 → 弩級のパット・メセニー・ユニティ・グループへ!
The Unity Band is augmented by the addition of Giulio Carmassi → Pat Metheny Unity Group on an unbelievable scale!

Pat Metheny Unity Group / KIN(←→) / 2014年
パット・メセニー・ユニティ・グループ / キン(←→)

Electric Guitar, Acoustic Guitar, Synth, Electronics, Synth, Electronics, Composed By, Arranged By, Producer – Pat Metheny
Acoustic Bass, Electric Bass – Ben Williams
Drums, Cajón – Antonio Sanchez
Piano, Trumpet, Trombone, French Horn, Cello, Vibraphone, Clarinet, Recorder, Alto Saxophone, Keyboards, Whistling, Vocals – Giulio Carmassi
Tenor Saxophone, Bass Clarinet, Soprano Saxophone, Clarinet, Alto Flute, Bass Flute – Chris Potter
Co-producer – Steve Rodby

きょうまで、現代ジャズドラマー列伝で、
≪ アントニオ・サンチェスの巻 ≫ 第7弾。

アントニオ・サンチェスの経歴の中で、
このパット・メセニー関連のアルバムを出さないワケにはいくまい。

一昨日紹介のユニティ・バンドの発展系ということなのだろう、
ユニティ・グループとなっている。

ユニティ・バンドでは、メセニー印の壮大な曲ではなく、
時折コンボ的というか普通のジャズ的アプローチな曲、あるいはスタンダードも演っていた。

それはそれで、開いた口が塞がらないようなとんでもない出来で、それは結構楽しみだったけど、正直方向性としてチグハグナ感じはあった。
まあ、メセニーらしさを “グループ” として追求するのが正常な進化だろう。

しかし、
「パワーアップはしてるんだろうけどメセニーのいつもの世界だろ」
なんて軽く聴き出すと火傷する。

1曲目冒頭1分過ぎ、バスドラにベン・ウィリアムスのベース音が重なっていゆく瞬間にはすでにオイラはグイグイ ユニティ・マジックに引き込まれてた、やっぱり、すげ〜や。

グループと名前が変わったとはいえ、ぶっちゃけジュリオ・カルマッシが1名加わっただけなんだけど、そのサウンドの荘厳さ、ゴージャスさ、緻密さ、もう完全にメセニー・ワールド満漢全席。

ユニティ・バンドを結成した理由は、よりジャズ的自由度を上げたかったのかな、と思う。
このアルバムでは、一聴してゴージャスになった分以前のパット・メセニー・グループに戻ったかのようだけど、それぞれのソロあるいはソロ以外の部分にも自由な動きが反映されているような気がする。

非の打ちどころのない緻密なサウンド構成でありながら、ジャズ的自由度を求めたスリルとの共存。とんでもない弩弓のアルバムだ。

それにしても、今回から加わったマルチ・プレーヤーのジュリオ・カルマッシだけど、
マルチなことにも程があるよ、まったく!

ピアノにトランペットにトロンボーンにフレンチホルン、チェロ、ヴィブラフォンにクラリネット、リコーダー、アルトサックス、キーボード、ホィッスルにヴォーカルと要するになんでもできる人なんだね、唖然。
もちろんマルチなだけではなく、そのどれもが一級品(そうでなきゃ、パットが採用しないよね)。
マジ、開いた口が塞がらない。

彼を有名にした動画が、これだ ↓

このアルバムには、オーケストリオン(メセニー考案の自動演奏装置)も使用されてるけど、彼ひとりでオーケストリオンがもう1台あるようなものだ。そりゃ、サウンドの幅が絢爛豪華なハズだ。

あと、クレジット見ると共同プロデューサーとしてスティーヴ・ロドビーの名前がある。
彼は、パット・メセニー・グループのすべてのアルバムで活躍したベーシストだけど、じつは2000年以降のパット・メセニーのすべてのアルバムに共同プロデューサーとして名を連ねてる。なんかニンマリだ。

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