Brian Blade

Jazz Drummers of Today
現代ジャズドラマー列伝

Brian Blade / ブライアン・ブレイド / No,009

優れた絵画の連作であり、香り高い長編小説のようなアルバム。
The album is a series of excellent paintings and a fragrant long novel.

Brian Blade & The Fellowship Band / Season of Changes / 2008
ブライアン・ブレイド&ザ・フェローシッピ・バンド / シーズン・オブ・チェンジズ

Drums – Brian Blade
Alto Saxophone, Bass Clarinet – Myron Walden
Tenor Saxophone – Melvin Butler
Bass – Chris Thomas
Guitar – Kurt Rosenwinkel
Piano, Organ, Synthesizer, Electric Piano– Jon Cowherd
Produced By – Brian Blade, Jon Cowherd

さてさて本日も、現代ジャズドラマー列伝 ≪ ブライアン・ブレイドの巻 ≫ 、第9弾。
2008年、ブライアン・ブレイド&ザ・フェローシッピ・バンドの作品。

ザ・フェローシッピ・バンドは、ブライアン・ブレイドのリーダーバンド。
1998年のデビュー・アルバムから、
2000年の “Perceptual” ときて、本作が3作目のリーダーアルバムだ。

1st 、2nd、と素晴らしかったけど、本作3rdと充実度は上がってる。
2ndから参加したギタリストのカート・ローゼンウィンケルの存在感は、
上がりまくってて、それはうれしいけど、

ローゼンウィンケルの力というより、
ブレイドのクリエイト、作編曲能力とリーダーシップの賜という気がする。

これまでのオーソドックスなジャズとは、明らかに違うベクトルのアルバム。
アドリヴ力あるいは、インプロビゼーションのせめぎ合い、あるいはインタープレイの様相に重きを置く楽曲から、
明らかに楽曲のコンセプト、世界観や空気感、ストーリー性や、アンサンブルに力点が移ってきた音楽であることは明確だ。

ただ、例えばパット・メセニーの音楽が、その先鋒であるとして、
メセニーのリーダーシップや個性が最優先であるのに対し、

バンド名の通りフェローシップ(連体的)、より各自の音楽性を重視して、
ゆるやかな成り立ちやジャズ的な有機的反応を意図したのが、ブレイドのフェローシップ・バンドの特長だろう。

もちろん各自のソロも素晴らしいけど、
明確なストーリー展開に沿ったような、
それぞれのプレイとアンサンブルの素晴らしさが白眉。

現代的なラージ・アンサンブルの色彩でもなく、
かといって伝統的なビッグバンドの踏襲でもなく、
重厚なアンサンブルは、ハード・ボイルドでありながらも温かくも美しい。

そんな世界を構築するのが、
音階楽器ではなく、ドラマーのブライアン・ブレイドという事実。

彼のライフワークとも言える「ザ・フェローシッピ・バンド」が示す世界こそが、
現代ジャズの変わり目を大きく象徴するマイルストーンなのかな。
優れた絵画の連作であり、香り高い長編小説のようなアルバム。
                               

Brian Blade / ブライアン・ブレイド
– 1970年ルイジアナ州シュリーブポート生まれ –

9歳でヴァイオリンを始める。教会でゴスペルに親しみドラムを担当していた兄の影響で中学でドラムを始めた。
高校時代、ドーシー・サマーフィールド・ジュニアに師事し、コルトレーン、パーカー、マイルス、ブレイキー、モンク、エルビン・ジョーンズ、ジョニ・ミッチェルの音楽に傾倒。18歳でニューオーリンズに移り住み、ロヨラ大学に入学。1988年から1993年にかけてエリス・マルサリス等のニューオーリンズ在住の有名ミュージシャン達とセッションを交わす。
ジョシュア・レッドマン、ケニー・ギャレットのサイドマンとしてデビュー。
ジャズ・シーンの精鋭のみならず、ロック界の大御所のレコーディングにも参加。
1997年「ザ・フェロウシップ」バンドを結成し、2000年に入ってウェイン・ショーターのカルテット加入。2009年にはチック・コリアのグループまたトリオに参加。現在、最も多忙なジャズ・ミュージシャンのひとりとして世界を飛び回っている。
また、ジョニ・ミッチェルやノラ・ジョーンズなどヴォーカリストのパートナーとしても信頼が厚い。
しなやかで歌を感じさせるドラミング。
高度なテクニックを持ちながらも溢れる感性で常に全体のサウンドを考えたプレイに徹するスタイル。ドラマーというより音楽家としての姿勢が真摯で、何より楽しそうにプレイするその姿は、バンドメンバーばかりか聴衆を魅了して一つにしてしまう。

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