2022年の20枚!

Jazz Drummers of Today
現代ジャズドラマー列伝

Tyshawn Sorey / タイショーン・ソーリー/ No,006

限りなく透明、揺るぎない愛と確信がともるサウンド!
The sound is infinitely transparent and filled with unshakable love and conviction!

Tyshawn Sorey Trio / Mesmerism / 2022年
タイショーン・ソーリー・トリオ / メスメリズム

Drums, Producer – Tyshawn Sorey
Piano – Aaron Diehl
Bass – Matt Brewer

ちょっと熱にうなされてるうちに、間が空いちゃった。

本日は、≪ 現代ジャズドラマー列伝 タイショーン・ソーリーの巻 ≫ 第6弾。
タイショーン・ソーリー2022年のリーダー・アルバム。

いや〜男臭いジャケット・デザインが、クール。
しかし中味は、むしろクリスタルのように透明度高く秀逸。

このピアノトリオでは、
ホレス・シルバー、ハーブ・エリスに、
ジョゼフ・コズマであの「枯葉」、
ポール・モチアン、ムハール・リチャード・エイブラムス、
そしてエリントン(曲順どおり)とスタンダードというかカヴァーのみの演奏だ。

ドラマー、タイショーン・ソーリーを人に奨めたいのだが、
彼の関わったアルバムは、片っ端から小難し系というか、アヴァンギャルドというか、
実験的なものが多いので、なかなか奨めづらいのが実情。
しかし、このアルバムなら万人にオススメできる。

ただ、このアルバムがどういうワケかSpotifyになくて、
オイラも今年になって知って紹介を躊躇してた。

ベースのマット・ブルーワーはお馴染みの名手。
でも、ピアニストのアーロン・ディールは馴染みのない名前。
調べるとセシル・マクロリン・サルヴァントの伴奏とか演ってる人。
(自分のブログに教えられた

クラシック畑出身で、ケニー・バロンに師事し。
ウィントン・マルサリスとかトラディショナル方面なピアニストらしい。
クラシックの素養があるソーリーとも肌が合うのかも知れない。

原型が掴めないほどデフォルメというか編曲がなされてるけど、
美しい流れだけを取り出して切り貼り、ループ、編集する様は、
むしろヒップホップ的かも知れない。
いや、絶対そうは聴こえないくらい自然だけど。

「先人の作った楽曲への愛と感謝を、できる限り正直な方法でレコーディングした」
というソーリーだけど(サナコレ参照)。
硬質で揺るぎない愛と確信の炎が、揺れているような、
あるいは、限りなく透明なオニキスのような、
そんな、凛とした美しさに満ちた音楽。

あまりタイショーン・ソーリーのドラミングを聴いたことない人にこそ、
ぜひ聴いていただきたい名盤。
叩きまくっている(表現が悪いな、手数が多すぎる)のに、
1ミリたりともうるさくなく調和する彼のドラミングは驚異的。
遅ればせながら「2022年の20枚」に選定。

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