Chris Dave

Jazz Drummers of Today
現代ジャズドラマー列伝

Chris Dave / クリス・デイヴ / No,003

世界のジャズ・ファンを驚愕させたクリス・デイヴのグルーヴ!
Chris Dave’s groove astonished jazz fans around the world!

Robert Glasper / Double Booked / 2009年
ロバート・グラスパー  /  ダブル・ブックド

Producer, Piano, Electric Piano – Robert Glasper
Double Bass – Vicente Archer (tracks: 1 to 6)
Bass Guitar – Derrick Hodge (tracks: 7 to 12)
Drums – Chris Dave
Saxophone, Vocoder – Casey Benjamin (tracks: 7 to 12)
Written-By – R. Glasper (tracks: 2 to 5, 7, 9)

もしもし、やっべえブッキングかぶっちゃったよ!
的な小芝居で始まるこのアルバムは、

つまり、アコースティックなロバート・グラスパー・トリオ と
エレクトリックなロバート・グラスパー・エクスペリメント的なヤツと、
ハーフ&ハーフなつくりになっている。

出だしのピアノから驚きを隠せない。
もちろんフリーキーでもないしむしろ聴きやすいのに、
聴いたことない音のならび、そして驚愕のドラミング。

いまとなっては、グラスパーのピアノ・プレイは貴重な気もするので、
余計に耳をそばだててしまう。

前半部分、純然たるピアノ・トリオというスタイルをとりながらも、
グラスパーのピアノは、明らかにこれまで聴いてきたものとは文法が違ってて、
そこら辺が、じつにおもしろく驚きとニヤニヤが止まらない。

そして、クリス・デイブのドラムも、マジで文法が違ってて、
「いったい何をやっているの?」な感じ、最初から最後まで耳を離せない。

ひょっとして、レーベル=ブルー・ノートを納得させるために、
ハーフ&ハーフという手を取ったのかもしれない(グラスパー的には不本意か)けど、
ピアノ・トリオ部分の方にむしろ、
彼らの尋常ならざるジャズの革新者の部分が現れているような気がする。

どちらのスタイルでやろうと、
グラスパーのクリエイティブの核心部分は変わらないし、
2つのスタイルを通して聴くことで、むしろ発見も多い。

このアルバムは、グラスパーを理解するのに非常によく出来た教材なのかもしれないし、
「Black Radio」という超新星へと続く明確なマイルストーンであり名盤だ。

Chris Dave / クリス・デイヴ
– 1973年、テキサス州ヒューストンに生まれ –

幼い頃から教会でゴスペル・ミュージックに親しむ一方、マイルス・デイヴィスやジョン・コルトレーンといった伝説的なジャズ・アーティストたちに心酔。ドラム・スティックは3才で手にし、中学生になるとプロとして演奏するようになる。ヒューストンの有名アート・ハイスクールへ入学。R&Bバンド、ミント・コンディションのレコーディングがプロとしてのキャリアのスタート。その後、ライオネル・リッチーやメアリー・JブライジといったR&Bアーティストやケニー・ギャレットのような一流ジャズ・アーティストのレコーディング・セッションに参加するようになる。
2009年、「ロバート・グラスパー・エクスペリメント」に初代ドラマーとして参加。2010年にマックスウェルの「BLACKsummers’night」でグラミー・最優秀男性R&Bアルバム賞を、2012年にアデルのセカンドアルバム「21」でグラミー・最優秀アルバム賞を獲得。2013年には、グラスパーのアルバム「Black Radio」でグラミー・最優秀R&Bアルバム賞を獲得。その後もエド・シーランやジャスティン・ビーバーの大ヒットアルバムに参加。2015年に参加したディアンジェロの「Black Messiah」で、最優秀R&Bアルバムに輝いた。
特にジャズとヒップを横断するスタイルと称されるドラミングは、Jディラのようなよれたビートを自在に操り、固定概念を覆す超個性的な技と熱量で無二のサウンドをつくり出す。


The Robert Glasper Experiment – Festival

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