Marcus Gilmore

Jazz Drummers of Today現代ジャズドラマー列伝Marcus Gilmore / マーカス・ギルモア / No,004

72歳チック・コリアの飽くなき創作意欲が炸裂!
At 72 years old, Chick Corea’s insatiable appetite for creativity is exploding!

Chick Corea / Vigil / 2013年
チック・コリア / ザ・ヴィジル

Synthesizer, Piano, Producer, Written-By – Chick Corea
Acoustic Guitar, Electric Guitar – Charles Altura
Bass – Hadrien Feraud, Stanley Clarke (Track: 8)
Drums – Marcus Gilmore
Percussion – Pernell Saturnino (Track: 1 to 3)
Saxophone – Ravi Coltrane (Track: 6)
Soprano Saxophone, Tenor Saxophone, Flute, Bass Clarinet – Tim Garland
Vocals – Gayle Moran Corea (Track: 5)
Producer – Chick Corea

現代ジャズドラマー列伝 ≪ マーカス・ギルモアの巻 ≫ 第4弾!
ギルモアが、チック・コリア・バンドに抜擢される!

リリース時(2013年)チック・コリアは御年72歳。
そのエネルギッシュな創作意欲、そしてにわかに信じがたいパフォーマンスの高さには、ただただ脱帽だ。
そして、このアルバムが素晴らしいのはチック・コリアが、ただ「昔の仲間と演ってます」ではないところ。

アルバムのデザインから、リターン・トゥ・フォーエヴァー “ Romantic Warrior ” を彷彿とさせるが、もろエレクトリック・チック・コリアだと思えばいい。

メンバーは、ベーシストに次代のジャコ・パストリアスとも言われるアドリアン・フェロー。
そして、ギターにチャールズ・アルトゥラ、
ドラムが我らがマーカス・ギルモア、
サックスにティム・ガーランド、
パーカッションのパーネル・サトゥルニーノという基本構成。

それに、1曲だけベースのスタンリー・クラーク、サックスのラヴィ・コルトレーン、ヴォーカルでチックの奥さんゲイル・モラン・コリアが参加している。

オープニングからカッコいい。
ガーランドのソプラノ、そしてギルモアのドラムの音、堪らない。

2曲目は、得意なスパニッシュ調。ギターのアルトゥラ、スゲ!
3曲目も軽快な6拍子でアフリカンな空気。後半のリズムチェンジやソロの交換、ドラムソロでこれまた◎。
つぎは、アコースティックでしっとり演って、5曲目ヴォーカル曲で小休止。

アドリアン・フェローのベースもさすがに凄くて、スタンリー・クラークやジョン・パティトゥッチに勝るとも劣らない内容で感服。

6曲目 “ Pledge for Peace ” は、いつになくチックがスピリチュアルなピアノを弾いて、ラヴィ・コルトレーンのテナー炸裂。この曲はなんとサブタイトルが “ A prayer inspired by John Coltrane ” 、煽るぜ、熱いぜ。

その後は、また基本メンバーでの快演。
鉄壁なリズム陣に、サックスもギターも言うことなし。
リーダーのチックも若返って溌剌&壮快なプレイ。

エレクトリック・バンドかと思いきや、
完璧エレクトロリックでもなく、アコースティックとの折衷みたいな音。
いつにもましてチック・コリアのピアノ・プレイにあがる!
いや〜いいアルバム。

このアルバムの続編的なものが聴けなかったのが返す返すも残念で仕方ない。

Marcus Gilmore / マーカス・ギルモア
– 1986年、 ニューヨーク生まれ –

マーカス・ギルモアは祖父であるレジェンド・ドラマー、ロイ・ヘインズから10歳のときドラム・キットを与えられる。ラガーディア音楽芸術芸術高校を卒業し、ジュリアード音楽院とマンハッタン音楽院にも入学。16歳のときからプロとしてツアーを行っている。
チック・コリア、ゴンサロ・ルバルカバ、ニコラス・ペイトン、スティーブ・コールマン、ヴィジェイ・アイヤー、アンブローズ・アキンムジレなど、現在最も有名なコンテンポラリー・ジャズ・アーティストと共演。また、自身のバンドでソロプロジェクトにも着手している。チック・コリアとの仕事でグラミー・ベスト・ラテン・ジャズ・アルバム賞も獲得している。
特にトニー・ウィリアムズ、エルヴィン・ジョーンズ、ミルフォード・グレイヴスから影響を受けたと語っている。とにかく音色、音の粒立ちが美しく、ゆったりとしたグルーヴの中にも幾重にも重なったポリリズミックなタイム感覚、反応の速さと柔軟性を持ちあわせる。

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