Piano Trio

Jazz Drummers of Today
現代ジャズドラマー列伝

Ulysses Owens Jr./ ユリシーズ・オーウェンズ・ジュニア/ No,008

エンリコ・ピエラヌンツィのプレイと創作活動へのアグレッシブさに脱帽!
Hats off to Enrico Pieranunzi for his aggressiveness in playing and creating!

Enrico Pieranunzi / New Visions / 2019年
エンリコ・ピエラヌンツィ / ニュー・ヴィジョンズ

Piano – Enrico Pieranunzi
Bass – Thomas Fonnesbæk
Drums – Ulysses Owens Jr.

ふたたび現代ジャズドラマー列伝《 ユリシーズ・オーウェンズJr.の巻 》にもどって第8段。精力的な創作活動、イタリアの至宝エンリコ・ピエラヌンツィ2019年の作品。

またまた素晴らしいピアノトリオ作品。
メンバーは、スウェーデンのベーシスト トーマス・フォネスベックと、
USのドラマー ユリシズ・オーウェンズ Jr.。
トーマス・フォネスベックとは、2018年にデュオ作品を残してる。

1曲目、エレキベースのスラップ奏法のようなパーカッシブなベースのフレーズとそれを追いかけるピアノが楽しい。
2曲目は “ Night Waltz ”、いかにもピエラヌンツィなエレガンスと哀愁が混然となった美曲。
ころころと転がる音色に、これだよ!これ、という声が聞こえてきそう。

けっこうフリーっぽい曲(タイトルもFree Visionsとついている)も4曲あるけど、エレガンスとロマンティックを決して失わないのがピエラヌンツィのスタイル。これも各自の個性が表れてどれも耳が離せない。特に “ Free Visions 4 ” での後半の爆走は胸が躍る。

“ Alt Kan ske (more Valentines) ” は “ My Funny Valentine ” をベースにした曲だという。聞いてなきゃ全然わからないくらい解体再構築された様がおもしろい。

フォネスベックがフューチャーされるラテンなサスペンス風味の“ Brown Fields ” も素晴らしいし、おだやかなバラード “ Dreams and the morning ” でのフォネスベック・ソロも秀逸だ。

11曲目は、オーウェンズの名を冠したピエラヌンツィ作の楽曲。スウィンギー&ブルージーでご機嫌。ピエラヌンツィの愛を感じる。

ラストは、切ないフォネスベックの楽曲。ベースとピアノの絡みがたまらない。
この曲は特にそうだけど、全編通してフォネスベックのテクニックと力強さ、懐の深さが際立っていてピエラヌンツィとの相性の良さが感じられる1枚。

もちろん若きオーウェンズも素晴らしい仕事ぶりだし、3者がその良さを十分に発揮した作品。
それにしても、ピエラヌンツィのプレイと創作活動へのアグレッシブさには脱帽だ。

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