Saxophon player's albums

チャーリー・パーカーは、 「もの凄い早口で、理路整然と喋る人」by 大谷能生

The Passion of Charlie Parker / 2017年
ヴァリアス・アーティスト / ザ・パッション・オブ・チャーリー・パーカー / No,2013
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いわゆる企画ものだけど、このアルバムには、めちゃ感動した。

現代ジャズ・シーンを代表するミュージシャンが参加した、チャーリー・パーカーのトリビュート・アルバム。パーカーのオリジナルに歌詞をつけて、パーカーの生涯をたどるというおもしろい作りになっている。

サックスにダニー・マッキャスリン。
ドラムが、マーク・ジュリアナ、エリック・ハーランド。
ベースに、スコット・コリー、ラリー・グレナディア。
ギターが、ベン・モンダー。
そして、そこに加わる豪華なボーカル陣多数、いまの人ばかり。

ところで、みなさんチャーリー・パーカー好きですか?
というか聴きますか?

オイラは昔、ちょっと聴いて「どこがいいんだろ?!」とすぐ放おったくち。

目まぐるしく上下するライン、トリッキーな譜割り、畳み掛けるサウンド。
どうノッていいのか分からない。

評論家でサックス奏者の大谷能生(おおたに よしお)氏いわく、

チャーリー・パーカーは、
もの凄い早口で、理路整然と喋る人」なるほど納得。

普通の人は、ついて行けない。それになんだか古くさい音だし。
サックスやる人、あるいはジャズ・プレーヤーを志す人くらいしかあまり聴かないのでは。

オイラもベースをかじった時期に、

ジャコパスのこのアルバムの一曲目、ソロ・ベースでのパーカーの “ Donna Lee ” を弾きたくて耳コピするのに死ぬほど聴いた。それでやっと耐性が、いや楽しさが少し分かった。普通の人は、死ぬほど聴いたりしないよね。

しかし、サックス・プレーヤーにとっては、神と言われる存在だけに、そのプレイにはビバップの、あるいはジャズの、“ ジャズ的なるもの ” のエッセンスが詰まっている(たぶん)。

このアルバムは、そのエッセンスを、滋味深いエキスを、とても分かりやすく聴きやすく教えてくれる良盤だ。

まず、ダニー・マッキャスリンのサックスが、ちっともパーカーぽくなく、しかも肩の力が抜けてるのによく聴くとスゴイことやってる。自信に満ちて自分の音楽をやってる感ありで、スゴイ。

そして全体のサウンド構築がカッコいい。これはプロデューサーならびに録音の力量。パーカーが、いまのサウンドでじつにクール。低音の処理とかしびれる。

そして、なんといっても豪華なボーカル陣の力量。

オイラ的には、グレゴリー・ポーターとメロディー・ガルドーがよかった。
ふたりとも、もろジャズの人ではないのに、思いのほかパーカーを歌いこなしてる。

そしてカミーユ・ベルトーは、もう見事。すごいテクニック。

そして、もっとも驚いたのは、ジェフリー・ライト。
半分語りみたいな味のあるボーカルなんだけど、この人ミュージシャンじゃなくて俳優だった。さすがというか、素晴らしい。

今をときめく、キャンディス・スプリングスといい、カート・エリングといい、マデリン・ペルーといい、そして極めつきは、「クレイジー・ガール・クレイジー」でグラミー賞の「ベスト・クラシック・ソロ・アルバム」を獲得したソプラノ歌手バーバラ・ハニガンといい、もう素晴らしすぎる。

彼らの歌声が、分かりづらいパーカーを、
歌えないけど心地よいレベル(たとえばスティーリー・ダンとかキリンジとか)まで引き寄せてくれてる(当社比)気がする。

このアルバム、最近のお気に入りで繰り返し聴いてる。

試しにこれ聴いたあと、本家パーカーのオリジナル聴いてみるといいよ。
じつに親しみやすい音楽に様変わりしてるから。

もう一度言うけど、これ素晴らしいアルバムです。
べつにお勉強のために聴くわけじゃないけど、
このアルバムで、ビバップの、あるいはジャズの、“ ジャズ的なるもの ” の滋味深いところを味わる。ジャズ初心者やチャーリー・パーカー初級者にもうってつけ!

Tenor Saxophone – Donny McCaslin (tracks: A1, A2, A3, B1, B2, B3, C1, C2, C3, D1, D2, D3)
Bass – Larry Grenadier (tracks: A1, C3), Scott Colley (tracks: A2, A3, B1, B2, B3, C1, C2, D1, D3)
Drums – Eric Harland (tracks: A1, A2, B1, B2, B3, C1, C2, C3, D1, D2, D3), Mark Guiliana (tracks: A3)
Vibraphone – Eric Harland (tracks: B3)
Guitar – Ben Monder (tracks: A1, A2, A3, B1, B2, B3, C1, C2, C3, D1, D2, D3)
Lyrics By – David Baerwald
Piano, Organ, Electric Piano – Craig Taborn (tracks: A1, A2, A3, B1, B2, B3, C1, C2, C3, D1, D2, D3)
Vocals – Madeleine Peyroux, Barbara Hannigan, Gregory Porter, Jeffrey Wright, Luciana Souza, Kurt Elling, Kandace Springs, Jeffrey Wright, Melody Gardot, Camille Bertault
Producer – Larry Klein


V.A. The passion of Charlie Parker – Meet Charlie Parker (Chan’s Overture) [Vocal Version of ‘Ornith

The Passion of Charlie Parker

 

The Passion of Charlie Parker

  • ヴァリアス・アーティスト
  • ジャズ
  • ¥1935
The Passion of Charlie Parker

 

The Passion of Charlie Parker

  • アーティスト:Various Artists
  • 出版社/メーカー: Impulse Records
  • 発売日: 2017/06/30
  • メディア: CD
 
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