Drummer's albums

テイラー・アイグスティ様特集!鹿児島ジャズフェスティバル2019 特集 Vol.004


Kendrick Scott Oracle  / We Are the Drum  / 2015年
ケンドリック・スコット・オラクル  / ウィ・アー・ザ・ドラム / No,1217f:id:kingt4nikola:20190805215435j:plain

ピアニスト テイラー・アイグスティ続く。

これは、彼がメンバーであるケンドリック・スコット・オラクルのアルバム。
先週紹介、2013年 “ Conviction ” の次作。

ジャケットが示すように、
さらに彩りが鮮やかに、華やかになった印象が強い。

アルバムタイトル “ We Are the Drum ” だけど、
べつに、ドラムの祭典みたいなサウンドでは全く無い。

「ドラムという楽器は、本質的に人と人を結び付けて、文化と文化を結びつけることの象徴な様なものなんだよ。偉大なパーカッショニストのババトゥンデ・オラトゥンジがドラム教則ビデオの中で『アイ・アム・ア・ドラム、ユー・アー・ザ・ドラム、ウィー・アー・ザ・ドラム』と言っていたことから取ったんだ」
「そう。何故、オラトゥンジがそんなことを言ったかというと、ドラムの歴史を辿れば、シンバル、スネア、バスドラ、小太鼓、大太鼓みたいにそれぞれに担当の弾き手がいて、それぞれをバラバラに弾いていたんだ。それをニューオリンズでジャズを始めた人たちが、これらをまとめてしまえば一人の人間が全部演奏できるんじゃないかと考えて、それがドラムセットになっていった。スネアとかバスドラはヨーロッパが発祥で、タムはネイティブアメリカンの音楽から来ていたり、シンバルはトルコや中国だったり、そういった異なる文化背景から来た楽器が一つに集まって、混じり合って、融合したのがドラムセット。それってとても素晴らしいことだろ? ドラムセットが生まれていく過程と同じようなことが社会や政治の世界でも起こったら素晴らしいと思う。このアルバムではドラムに象徴されているいろんな要素を結びつける側面を表現したいと思ったんだ」

なるほど、素晴らしい。

曲ごとのアイデアも豊富だし、
なによりドラマー ケンドリック・スコットの
作曲、アレンジ、そしてトータルなサウンドを構築する能力の高さを
これでもかと見せつける。

ドラマーといえど、作編曲が当たり前になりつつある最近だけど、
そのなかでもピカイチの能力じゃないかな。

けっこうシンプルな楽器編成、
しかも、ほとんどエレクトリックな飛び道具は使っていないのに、
おそろしく奥行きと拡がりを感じられる楽曲ばかり。

リズ・ライト ボーカルの歌ものが、一曲あるけど、これがまた秀逸。
ユニットの歌心がボーカルもので、さらに昇華した感。
聴きどころ満載、超濃密な美しい音世界。

いろいろな音楽的要素を内包しながらも、
伝統のジャズフォーマットを踏み外さない。
ジャズフォーマットなのに従来とはまったく異なる響き。

“ オラクル ” ユニットの成熟、
これ以上、彼らはどこへ行こうというのか!
いやはや、ため息の漏れる名盤なり。

Drums – Kendrick Scott
Bass – Joe Sanders
Guitar – Michael Moreno
Piano, Electric Piano – Taylor Eigsti
Saxophone, Bass Clarinet – John Ellis
Vocals – Lizz Wright


Kendrick Scott Oracle – We Are The Drum (Audio)


Kendrick Scott “Oracle” Mantra


Kendrick Scott Oracle – This Song In Me (ft. Lizz Wright)

We Are the Drum

We Are the Drum

  • ケンドリック・スコット・オラクル
  • ジャズ
  • ¥1300
We Are the Drum

We Are the Drum

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