Vocalist albums

Jacob Collier / In My Room / 2016
ジェイコブ・コリアー / イン・マイ・ルームNo.5013

94年生まれの天才が、世界にその才能を示した記念碑的アルバム!
A monumental album by a genius born in ’94 who showed the world his talent!

きょうは、 “Black Radio” 的ではないかもしれないけど、まさしくジャンルレスなひと。
いまの時代を象徴するアーティスト、ジェイコブ・コリアー。

オイラも多くのアーティストに対して、尊敬と憧れをこめて天才という言葉を使ってきているけど、このヒトは天才中の天才、本物だ。
2016年このアルバムが出たことは、音楽界の事件と呼べる出来事だった。

ジェイコブ・コリアーは、それを遡る5年前からネットで世界に名を馳せた。
2011年17歳の時のYouTube動画により時のひととなっていった。

1994年生まれ、現在25歳のコリアーはイギリス人だ。北ロンドンで二人の妹たちと母子家庭で育ったそうだ。その母親だが、ロイヤル・アカデミーで教授を務めるバイオリニスト、ならびに指揮者だそうで、おじいさんもロイヤル・アカデミーで教え、また演奏家としても活躍するバイオリニスト。コリアーはバリバリのサラブレッドというわけだ。(中略)
それにしてもこの母親がすごいと思う。創作活動を自由にさせるために音楽室を与え、7歳ですでにコンピュータを使わせて編曲活動をさせている。おそらく生まれ持った才能にいち早く気付き、だが教育するのではなく、その才能を伸ばす場を与えたのだろう。この偉大な母親に胸が熱くなる。才能に関してだが、彼はどのインタビューでも自分の若い時はテクニックより耳がある子供で、と語る口調に、テクニックがなかったことに劣等感でもあったのではないかと思わせる節がある。YouTubeデビュー以来の映像からはとても考えられない。鍵盤楽器、ギター系の楽器、アップライトとエレクトリックの両方のベース、ドラム、それにパーカッション、どれも超人的なテクニックで演奏する。歌は絶対に不安定なイントネーションを出さないばかりか、フレディー・マーキュリー並みの音域を持つ。そして理論は全て独学だ。16〜20歳のあたりで、世の中の音楽理論全てを知りたくなったそうだ。独学だというのに、彼は理論の基盤がしっかりしており、マスタークラスなどで教える彼の理論の講義は実にわかりやすい。そうそう、彼はMIT(マサチューセッツ工科大学)に客員教授として1週間招聘されたことがあり、それがドキュメンタリーになっている。公演に向けたリハーサルを止め、生徒たちにグルーヴを教えるためにピアノでバックビートを弾いて聞かせ、こうやった方が楽しくなると思わない?というような説明をする。つまり、20代そこそこのこの若者は教え方も完璧なのだ。(jazztokyo – ヒロ・ホンシュクの楽曲解説 #56より抜粋)

まあ、いまやジェイコブ・コリアーの情報は、ネットにいくらでも載っかってるので割愛しよう。

このアルバムは、もちろんタイトルの通り、
彼が自室にてすべての楽器を演奏、そして声を重ねて創りあげたアルバム、完璧すぎる。

11曲中8曲がオリジナル、とにかく音の重ね方、響きが高度でかっこいい。
トリッキーなプレイも目立つけど、全体としては穏やかな優しさに満ちた音楽だ。
生演奏で構築されたリズムがまた凄くて、リズムそれからハーモニーそして多くの挿入される楽器のフレーズが、ジャズのそして音楽の百科事典のようにバラエティにとんでいる。
そして、アフリカ音楽やジャズのマナーがベースとしてあるのは顕著だ。

何か現代的なクインシー・サウンドって感じだなと思ったら、
まさしくクインシー・ジョーンズの後押しでデビューが進んだようだし、
レーベルもクインシーのレーベルだそうだ。

94年生まれの天才が、世界にその才能を示した記念碑的アルバム。

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