Mark Guiliana

Jazz Drummers of Today
現代ジャズドラマー列伝

Mark Guiliana / マーク・ジュリアナ / No,004

ブラッド・メルドーとマーク・ジュリアナの超問題作!
Brad Mehldau and Mark Guiliana’s very problematic album!

Brad Mehldau & Mark Guiliana / Mehliana: Taming The Dragon / 2014年
ブラッド・メルドー&マーク・ジュリアナ / メリアナ : テイミング・ザ・ドラゴン

Synth, Piano, Voice, Composed By (All Tracks) – Brad Mehldau
Drums, Electronics, Composed By (Tracks: 2 to 5, 9, 12) – Mark Guiliana

現代ジャズドラマー列伝 ≪ マーク・ジュリアナの巻 ≫ 第4弾!

2014年、ブラッド・メルドーとの爆弾級 衝撃デュオ作品。
ジュリアナのキャリアの中でも最大の話題作というか問題作というか、
ジャズ界の事件とも言えるアルバムではないだろうか。

なんせ現代ジャズ、ピアニストとして真っ先に名前のあがるメルドーが、
ビート・ミュージックを標榜するドラマー、マーク・ジュリアナとデュオ。
しかも、エレクトリック弾きまくりなのだから。

タイトルの “Mehliana” は、なにか宗教めいた言葉かと深読みしてしまうが、
Mehldau と Guiliana を合体させただけらしい、おもしろい。

メルドーの第2次トリオ(2005年始動)は安定の素晴らしさだけど、
さらなる刺激というか何かこう爆発的なきらめきというか、
弾けるパンションみたいなものを期待するワケですよ。ファンとは欲張りです。
しかし、こんなカタチで期待を裏切られるとは思っていなかった。もちろん、いい意味で。

全12曲中6曲がメルドー作で、6曲が共作。
フェンダー・ローズとシンセを弾きまくるブラッド・メルドー。

カッコいいですな〜トランシー・ジャズとでも呼ぼうか。
これまでに聴いてきた、どんなジャズとも違うサウンドにドキドキする。

ブラッド・メルドーのソロももちろんおもしろいけど、左手部分あるいはメルドー奏でるシンセのベース・ラインが興味深い。日頃あまり聴かないパートというか、弾かないパートというか、もろジュリアナのリズムと呼応する部分。
なにか、メルドーの隠れた本音があるような気がして耳を懲らしてしまう。

無機質かつ激しいビートを叩き出すマーク・ジュリアナ。
そして、どんなにグルーヴに身をまかせ弾きまくってもクールなメルドーのソロ。
それは、ピアノでのスタイルと全く変わることはない。

きっと電気的な処理を排したドラムとピアノの組みあわせでも、
絶対におもしろいことになりそうな気がするユニットだ。

2人の斬り合いのような動画がまた、たまらなくスリリング。
このユニット、ほんとに観てみたい!

Mark Guiliana / マーク・ジュリアナ
– 1980年、ニュージャージー州生まれ –

15歳の時、ニルヴァーナ、レッド・ホット・チリペッパーズを聞いてドラムを始める。地元のドラマーから5年間レッスンを受け、ドラムを始めて2~3年頃からジャズドラムに専念。ウィリアム・パターソン大学でジョン・ライリーに師事、2003年にジャズ研究とパフォーマンスの学位を取得して卒業。
アヴィシャイ・コーエンのバンドで頭角を現し、その後マリア・シュナイダー、ブラッド・メルドーとのデュオ “メリアナ”、デヴィッド・ボウイの遺作『★(Blackstar)』を支えるバンドに抜擢されグラミー賞授賞式では、バンドメンバーとして登壇し5部門を受賞、その活躍は多岐に渡る。
近年は”ビート・ミュージック”をテーマにした作品をリリース。ジャズ、そしてビート・ミュージックと、ジャンルを超え活躍。
マシンライクなドラミングで有名だが、自身のアコースティックなジャズ・カルテットでもジャズを更新し続ける。拡張するジャズシーンの中でも最前線といえるドラマー。

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