彼方に見える自由の女神が放つ灯りは “ 不安 ” に抗う静かな炎。異なるバックグラウンドを持つ3人が織りなす躍動感が美しい “ Uneasy ”。

Vijay Iyer, Linda May Han Oh, Tyshawn Sorey / Uneasy /2021年
Piano – Vijay Iyer
Bass – Linda May Han Oh
Drums – Tyshawn Sorey
Produced By – Manfred Eicher, Vijay Iyer
Composed By – Cole Porter (tracks: 3), Geri Allen (tracks: 5), Mike Ladd (tracks: 4), Vijay Iyer (tracks: 1, 2, 4, 6 to 10)
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JazzDog’s Rating ☆☆☆☆
Degree of
Contemporary / コンテンポラリー度 ☆☆☆
Elegance / エレガント度 ☆☆☆
Ensemble / アンサンブル度 ☆☆
Advance / アドバンス度 ☆☆☆
Lyrical / リリカル度 ☆☆☆
DarkGroove / グルーヴ度 ☆☆☆
Stylish cover arts / ジャケ買い度 ☆☆☆
コロナ時代を象徴するような名盤の誕生。
本日は、ひさびさトリオでの作品を発表した時代のトップランナー、ピアニスト ヴィジェイ・アイヤーの最新作。ドラムは、盟友タイショーン・ソーリー。ベースは今をときめくリンダ・メイ・ハン・オーだ。
ひさびさのピアノ・トリオ作品ということもあり、ファンは目一杯アイヤーのピアノが楽しめることをまず喜んでいるハズ。
全編にわたって、アイヤーとソーリーのバトルというか対峙というか、恐ろしく白熱したボクシングのマッチのような様相。美しいまでに昇華したコミュニケーションのカタチ。
そして、その2人を取り持つベースのリンダの素晴らしいこと。軽やかに、ときにダークに物語を紡ぎ出す。
現代社会の不安をテーマにしたということでシリアスな曲ばかりだが、アイヤー作ではない2曲では歓喜が爆発するようで、これもまた大きなアクセントとなっている。
もちろん脳天気な楽曲ではないが、しだいに3人の熱にほだされ、いつのまにか高ぶっている自分に気づく。
ヴィジェイ・アイヤーのことだから、次にはまったくコンセプトの違うアルバムを出しそうな気もするけど、ぜひとも長い期間作り続けて欲しいメンツだ。
ジャック・ディジョネットとゲイリー・ピーコック&キース・ジャレットのスタンダード・トリオを継ぐ、あるいは超える存在として成長して欲しいと思ってる。
キースが倒れ、チックが往ってしまったときに現れた新たなトリオ。勝手に色々と期待してしまう。